松香洋子の提言

こうありたい日本の英語教育

2020年からの英語教育大改革

現在、進行中の英語教育大改革では、様々なが計画されています。
その内容としては、以下のようになる予定です。

小学校英語は

小学校英語イメージ
  1. 開始学年が3年生になり、これまで5,6年生を対象に実施されてきた外国語活動の内容が年間35時間、学級担任主導のもとに進められる。そのために、教科書も、指導書も、補助教材も支給されていく。
  2. 5,6年生を対象に英語が教科となり、年間70時間、実施される。教科となるため、教科書も、指導書も、評価基準も示される。

中学校英語では

  1. 2017年度の中学生から、4技能を含む新しい大学入試の対象者であるから、それにむけて指導がなされる筈。
  2. 大学入試が変われば、高校入試も変わる筈であるから、授業内容は4技能を含む内容にかわる筈。
  3. 授業では、英語は英語で教え、英語でコミュニケーションができるような方向にむかっていく筈。

高校英語では

  1. 2017年度の高校1年生が、センター試験を受ける最後の学年になる。これまで通りの指導があと3年は続く可能性は大きい。
  2. 4技能入試の実現のため、一部の大学ではすでに入試に変わる英検等の外部検定試験の導入が進んできている。

このような改革の結果、何が達成されることが期待されているのでしょうか?

小学校

小学校が終わるまでに、英語のもっとも基礎的な語彙や表現を学び、それを会話で使ったりできるようになる。またアルファベットにも馴染み、短い単語を自ら読んだり、書き写したりすることができるようになる。

中学校

中学校を卒業するまでには、英検でいえば3級くらい、できれば準2級程度の語彙や表現を学び、それを会話や自己表現のために使える。読みに関しては、今後更に速読、多読の要求度が高まり、書きに関しては英文和訳ではない「自分の気持ち、考え」を述べることが要求されていく。

高校

高校を卒業するまでには、英検でいえば準2級とか、できれば2級、準1級程度の語彙や表現を学び、4技能でそれを展開できる。

大学

大学進学希望者は、大学で必要な文献を英語で読み、留学生達と共に英語で学びあい、自分の専門分野のことを英語でまとめたり、それを発表したりするといった学びに対する備えが必要。高校卒業後に、実社会に出ていく若者は、実践的な会話力、メールでのやりとり等に備えることが必要になる筈。大学では、「英語を」学ぶということはもう終わりになり、「英語で」学ぶ、学んだことをシェアするということが多くなっていく筈。

以上のことを達成するためには、早急に取り組むべきことが以下の2点です。

教員養成

中学校、高校の教員は大学入試が変わるということを理解し、4技能の指導を導入する必要がある。改革に伴う教員育成プログラムの充実・拡充が重要。

外部検定試験の整備

高校入試と大学入試を4技能試験にするために、外部の検定試験を全面的に、または一部でも取り入れていくのであれば、検定試験の内容と学習指導要領の内容を合致させ、中学、高校の授業内容も合致させていかなくてはならない。

学校英語が何を教え、何を担っていくかの範囲が決まったら、学校教育は生涯学習のごく一部であるという真実を踏まえて、「英語が大嫌い」「自信がない」などという国民をつくらないように、最大の努力をしなくてはならない。

また民間の学習塾や英語教室は全面的に指導法を改め、学校で文法を教えないならもっと文法を教える、などという後ろ向きな方向に走らないでほしい。

mpi 会長 松香洋子

松香洋子は日本の英語教育のオピニオンリーダーとして全国各地で小学校・民間英語教育機関・民間および公立の幼稚園・小中学校・高校・大学にて講演を行っております。mpiセミナーでは小学校英語関連の講座・英語教育理論講座を担当しています。