ひたすら繰り返すということ

私たちが日本語を習得するには、同じ言い回しを本当に数えきれないくらい、聞いたり、使ったり、読んだり、書いたり。

それなのに、英語をマスターしようとしたとき、「一回授業で教えたから覚えて当たり前」となってしまうのは、どうしてでしょうか?

インプットされたことは、定着するまで、繰り返さなければ、すぐに無くなってしまいます。穴が空いたバケツに水を入れ続けるようなものです。

「だから、幼児から、小学校からする必要はないですね」という声も聞きます。

なぜ幼児さんから、英語をするのでしょうか。それは、言語は、文字だけではありません。音があるのです。英語の音は、日本語の音と違います。つまり、アルファベットの音素は、日本語には、無い音ばかりです。また、日本語とは違う世界に入るには、とても勇気のいることです。大変な異文化交流です。その気持ちも育てられます。

音をマスターするのは、小さいうちがベストです。ただし、やめない覚悟がいります。2、3ヶ月でも、音を聞かさなければ、すぐに忘れてしまいます。

当教室で、すばらしい音が出せるのは、年少さんクラスのみんなです。アヒルの鳴き声が入っている絵本を一緒に読んでいて、クワ、クワと叫んでいますが、実は、破裂音(k)の音の練習をしています。のどを使う音で、日本語にはありません。これは、英語を発音するための「のどの器官」を鍛えています。でも、楽しくてしている行為です。

これを高校3年生、英語発音訓練0の生徒にさせても、できないばかりか「したくない」と顔を書いてありました。

しかし、幼児さんでも、うまく英語世界に入れないと、「逃げたい」というのが本当の気持ちのようです。無理をさせないのが大事。4,5歳さんで、もう、違いが出ています。

そんな音訓練満載の歌を歌って楽しめる年齢で、どんどん正しい音の英語をインプットしていけるのが小学1,2、3年生。しかし、1年生でも、初めて英語世界に来ると「ぴっくりして、こわくて、逃げたくて、パニック」になる生徒もいて、かわいそうです。

そして、そろそろ、英語が話したくてしょうがなくなっているのが、3,4年生。しかし、歌の訓練をしてきていないと、日本語英語になってしまいます。

5年生になると、文字を写したり、読んだりがしたくなり、初めて英語音声に触れた生徒は、もう拒否感いっぱいになる場合もあります。「英語を学ぼうとする気持ちを育てる」が、文科省が定めた小学校の指導目標の一つです。

ひたすら繰り返す、それしか無いのですが、つまり、日常生活に入れてしまうしかありません。国際語が我が家でいつも聞こえている。ご家庭にも国際化の波が来てしまいます。これは保護者の方にも、大変なことだと思います。負担と感じるご家庭と、ラッキーと感じるご家庭があるかもしれません。

それぞれのご家庭のご事情に合わされるのが、無理なく繰り返す環境を作ることになるのではと思います。