2011年10月3日
歌とチャンツで「通じる英語」の土台をつくる!
『通じる英語はリズムから』シリーズ
Will English(岡山県倉敷市)
mpi中国・四国エリアマネージャー
岡崎和子
レポート:小学校英語の現場から

英語圏の伝統的な歌やチャンツ、イソップ物語、さらには宮沢賢治の作品を、英語独特のリズムを大切にして教材化した『通じる英語はリズムから』シリーズ(CD付き絵本/DVD)は、全国の英語教室と小中学校で子供達に大人気の教材です。このシリーズの特徴やおすすめの活用例を、英語教室ウィルイングリッシュの岡崎和子先生に紹介していただきました。

レポート:小学校英語の現場から

リズムは「通じる英語」の土台

日本語と英語では、言語の持つリズムが大きく異なります。したがって、自然なスピードの英語を聞いて理解し、通じる英語を話せるようになるには、英語独特のリズム感を獲得することが大切です。『通じる英語はリズムから』シリーズは、英語圏で長く歌い継がれている歌やチャンツ(メロディーのないのリズムのよい歌)などを収録したCD付き絵本とDVDのシリーズで、歌ったり、踊ったり、演じたり、朗読したりすることで、子供が英語のリズムを楽しみながら効率的に習得することができる教材です。

全部で4作あり、1作目の『I like coffee, I like tea』は、26曲のチャンツを収録し、英語が初めての子供も楽しく歌って踊れる教材です。リズムが単純で反復性があり、また動作をつけて歌うことができるので、全員で楽しみながら歌うことができます。レッスンの最初のウォームアップに最適で、また一つひとつ曲が短いので、小学校では『英語ノート』などのメインの活動の前に使っても時間を取りすぎません。収録曲の中には、英語圏で育った人ならだれでも知っている常識として新聞や小説、映画に引用されているマザーグースの伝統的童謡も含まれており、異文化理解にも役立ちます。

2作目の『Mary had a little lamb』は、長めの歌を11曲集めています。歌が長くてもリズムが同じなので歌いやすく、また内容が次々と展開するので、知的好奇心が強くなった高学年の子供も楽しんで歌います。

3作目の『The goose with the golden eggs』は、イソップ物語を題材にしたチャンツ教材で、12曲を収録しています。配役を決めて演じて歌ったり、発表会や授業参観日に劇をしたりといった活動ができます。

4作目の『Gorsch the cellist』は、宮沢賢治の5つの作品を収録し、朗読や暗唱をしながら内容を味わう楽しみもあります。中学生以上にもおすすめです。2005年に宮沢賢治学会より「イーハトーブ賞奨励賞」を受賞している優れた絵本教材です。

4作すべてにDVDがあります。私の教室では、初めて歌を聞くときに、歌の内容理解を助けるためにDVDを使っています。特にOnly Englishのレッスンでは、聞いて内容が分からない場合でも、映像を見たら理解できることが多いので、DVDが重宝します。

The goose with the golden eggs』はミュージカル仕立てなので、1つの歌に配役が複数出てくるのですが、DVDを見ると、誰が何を話しているのか分かるので、導入の時だけでなく、役を決めて劇をするときにもDVDを見ながら練習することができます。

一度覚えたら忘れない『I like coffee, I like tea』

6年前に英語教室を立ち上げた時、教材選びや指導法を手探りしながら、納得できる歌教材を探していました。そうして出会ったmpiの『Songs and Chants』という歌教材がとても気に入ったので、その延長で『I like coffee, I like tea』を使い始めました。現在、mpiにはたくさんの幼児用教材があるのですが、その頃の私は学齢の違いをあまり気にせず、幼児と小学生のクラスの両方で『I like coffee, I like tea』を使っていました。

そうして私が発見したのは、幼児も小学生も、どの年齢の子供も歌を楽しんで歌うということ、そして、一度歌を覚えたら忘れないということでした。クラスでくり返し楽しく歌っておけば、その後、数年間その歌を聞いていなくても、何かの機会にCDをかけると、子供達はちゃんと歌うことができるのです。ということは、小さいときに歌って覚えた英語のリズムや発音や単語が、子供の中にその後も残り続けるということです。これが、英語圏で歌い継がれる伝承歌を英語教材にする強みなのだと思います。

年齢による特徴に関しても発見がありました。幼児は、強弱を付けるところや音の高低をよく聞き分け、英語の特徴をとらえてそれらしく歌うことができる天才です。一方、小学生は、歌を覚えた後に、自分流に替え歌を作って、オリジナルソングを楽しみます。ジェスチャーがはっきりした曲(Ten fat sausages、Five little monkeys、The eency weency spider)や、当たりやオニを決める歌(Acca bacca soda cracker、U are out!)などは、〝One more time, please!″″とアンコールが起きるほど何度も歌いたがります。

高学年は『Mary had a little lamb』で長めの歌にチャレンジ

私の教室では、『Mary had a little lamb』を小学4、5年生のクラスで使っています。『I like coffee, I like tea』などの教材で短い曲は歌い慣れているので、『Mary had a little lamb』の少し長めの曲も無理なく歌うことができます。なぜ『Mary had a little lamb』を4、5年生で使っているかというと、リズムがシンプルなので長くても歌いやすいだけでなく、内容に起伏と展開があり、高学年の知的好奇心に応えることができるからです。生徒が何週間かかけて本を見なくても歌えるようになった頃に、歌詞の内容について簡単な質問をしています。(具体的な方法は後でご紹介します。)

I like coffee, I like tea』を小学校低学年に、『Mary had a little lamb』を高学年に使ってみると、低学年までは歌を聞いたまま真似っこして歌っていた子供達が、高学年になると歌詞に書かれている状況を想像したり、歌詞の文法を考えたりしていることに気づきます。子供が自分で歌詞の各部を比較しながら、「ここは毎回同じだけど、ここは違う」と文法的な側面についても発見があるのは、歌の中で同じリズムが繰り返されるからこそだと思います。

発表会を盛り上げる『The goose and the golden eggs』『Gorsch the cellist』

授業参観日や発表会の日に何をしようかと悩むのは、英語教室の先生も、小中学校の先生も同じではないでしょうか。『The goose with the golden eggs』と『Gorsch the cellist』は、小さなグループでも、小中学校のクラス全体でも活用でき、授業参観や発表会で、劇や朗読にして発表させると見栄えがします。

The goose with the golden eggs』はミュージカル仕立てにして、配役を決めて発表するとよいでしょう。CDをしっかり聞いて、正しい発音で役になりきって演じることができれば、素晴らしい発表になります。『Gorsch the cellist』では物語を朗読します。内容を味わいながら感情をこめて読むことができれば、英語を通じて聴衆の心に訴えかける発表になります。