宮 清子
2010年11月2日
日本人のための
「フォネミック・アウェアネス」のススメ
宮 清子
レポート:小学校英語の現場から

◆Punchinello(Superstar Songs 1

 What can you do, Punchinello funny fellow? ....
 
 盛岡のS先生によると、幼児たちがあっという間に覚えた大人気の歌だそうです。
 What can you do Punchinello, funny fellow?  と歌詞がライミングしていて、心地よい歌です。リーダーの動作のまねをしては交代する楽しい歌です。S先生の教室では1列になって1人ずつ前へ出て動作をし、次の子を選んでは会話をする楽しい発展つきの発表もできたそうです。

 続いての音遊びのページでは、テキストに動物がたくさん出てくるので、動物の名前から音節の勉強に発展します。音節数ごとに動物がチームを組んでいます。CDに合わせて手をたたきながらチームを確認します。動物の名前を聞いて手をたたくクイズや、ばらばらに言われた動物の音をつないでみる活動に発展できます。

 Book 2, 3にも音節活動が入っていて、大阪のA先生の教室では、Did you ever see a lassie?(Book 2)で幼児達が音節分け(Robot Talk)を見事にこなし、見学した保護者や教育センターの先生方の喝さいをあびたそうです。
また大阪のI先生は単発で小学校高学年に試み、The Month of the Year(Book 3)のRobot Talkを上手にこなせたと報告をいただきました。

Superstar Songs


◆A Hunting We Will Go (Superstar Songs 2)

 A hunting we will go
 We’ll catch a little fox
 And put him in a box....

 英語圏の子ども達は、小さい時から歌や絵本などでライミングに親しんでいて、それは英語圏の文化の一つにもなっています。この曲のfox - boxのようにライミングに焦点を当てた曲は、楽しみながら耳を傾けて、共通した音や異なる音を比較するのに最適な素材です。語彙の少ない日本人にもその楽しさに触れてほしくて紹介しました。おかしな組み合わせの単語同士で替え歌をつくって、アハハと笑ってほしい曲です。
 ここで扱ったライミング語はこの先、フォニックス教材でもよくお目にかかるものばかりです。

 続く音遊びの後に、ライミングを聞き分けるテストがあり、3つの絵のうち同じ終わり方をする単語を2つ見つけて○をつけます。フォネミック・アウェアネスのアセスメントの典型例です。

Superstar Songs


◆Apples and Bananas (Superstar Songs 3

 I like to eat, eat, eat apples and bananas....
 I like to ate, ate , ate ay-ples and ba-nay-nays
 I like to eat, eat, eat ee-ples and bee-nee-nees....

 Book 3になると初頭音やライミングだけでなく、母音や語末の子音にも目を向けます。そんな中でこれは典型的なフォネミック・アウェアネスの曲です。母音の違いで単語がこんなに変わってしまうかとびっくりするような歌で、英語圏でも大人気の歌です。

Superstar Songs


◆The Muffin Man (Superstar Songs 3)

Do you know the muffin man who lives on Drury Lane?
Yes, I know the muffin man who lives on Drury Lane
We all know the muffin man who lives on Drury Lane....

 会話調の楽しい歌です。発音も「マヒンマン」にならないよう注意しましょう。/f/と/h/の混乱は日本人に一番「問題な発音」といわれています。

 Book 3の最終段階にくると、3文字単語を分析するしりとり遊びができます。音遊びのコーナーでは、gum - manのように、しりとりになる親ガメと子ガメをつなぎます。

 単語の最初や最後の音が自在に取り出せなければ遊べません。巻末の絵カードを3冊分使えば、かなりのしりとりが楽しめます。フォニックス学習前にこのような活動をたっぷりしていれば、文字と対応したときに効率良く学習が進むはずです。

Superstar Songs


6.「読み書きはフォニックス後もフォネミック・アウェアネスを要す」

 フォネミック・アウェアネスは特に書く時にその力を発揮するといわれます。日本の子ども達もフォニックスで学んだことを最大限に応用できるようになってほしいものです。

 一度は読めるようになった子ども達が、つい忘れてしまいがちなこと。それは「自分の耳で聞き分けるスキル」です。フォネミック・アウェアネスで培った豊富な音声体験が、子ども達の自信につながり、国際共通語の世界へ飛び立つお手伝いになれば、教材製作者としてこの上ない幸せです。

参考文献
湯澤・関・李(2007)「日本人幼児にふさわしい英語教育について考える」
門田 (2002)    シャドーイングと音読の科学
Nation (2001)   Learning Vocabulary in Another Language
Adams (1997)    Phonemic Awareness in Young Children
Blevins (1998)  Phonics from A to Z
National Institute for Literacy Put Reading First 
Collins (2007)  Practical Phonetics and Phonology
Robin Walker (2010) Teaching the Pronunciation of English as a Lingua Franca

→ Superstar Songs 英語のおとあそび教室 1
→ Superstar Songs 英語のおとあそび教室 2
→ Superstar Songs 英語のおとあそび教室 3