親が英語教育に求めるもの 英語教室ができること
2010年2月2日
親が英語教育に求めるもの
英語教室ができること
~ママさん4人の座談会~
取材・構成 奥原剛
レポート:小学校英語の現場から
「英語教室」が習い事の上位にランキングされ、公立小学校でも英語が導入されるなど、児童英語教育の裾野が広がっています。そんな今、子どもを持つ親は英語教育に何を求め、英語教育は子どもに何を与えることができるのでしょうか。4人のお母様方との座談会を通し、児童英語教育への疑問や要望をお尋ねし、私たちmpiが子ども達の未来のためにできることを考察してみました。
レポート:小学校英語の現場から
ママさん4人の座談会
前川(まえかわ)さん
大学卒業後、商社勤務等を経て、2001年に結婚。現在、4歳の長男と9カ月の長女のママの専業主婦。横浜市在住。子どもへの英語教育は特に何もしていない。

尾崎 (おざき)さん
大学卒業後、地方公務員に。1997年に結婚。6歳の長女のママ。公務員を続けながら子育て中。群馬県館林市在住。英語教育は、3歳以降、数種類の教材にチャレンジ。現在はCD教材を楽しんで聴いている。

忽那(くつな)さん
大学卒業後、商社に入社。2001年に結婚。現在、4歳の長男のママ。西東京市在住。英語のできるおばあちゃんが時々、家で孫に英語の歌を教えている。

根岸(ねぎし)さん

大学卒業後、アパレルメーカー、商社勤務を経て、2000年に結婚。現在、8歳の長女と3歳の長男のママ。出版社で働きながら子育て中。長女、長男とも近所の英語教室に通わせている。

聞き手
松香マクドゥーガル明子(本文中では「マック」/株式会社mpi社長/写真左)
新田あけみ(株式会社mpi広報)
レポート:小学校英語の現場から
子どもに与える環境は多様な方がいい

マック 本日は皆さんから児童英語教育への疑問やご要望をうかがいたいのですが、まずは、『これだけは知っておきたい 子どもと英語』(松香洋子著/mpi)をお読みいただいたご感想からお話いただけますか。

前川 国際化の時代ですので、親が子育てのなかで具体的に何ができるのか、興味のある親は多いと思います。本の中では、真の国際人を育てるために、「表情やアイコンタクトなどのノンバーバル・コミュニケーションを大切にする」「自分から手をあげるなどの国際的マナーを育成する」「自分の意見をはっきり表明する」ことが挙げられています。でも、日本人の母親にとって、自分の子にそのような教育をするのは難しいのではないでしょうか。

ふだんの生活では、日本人どうしでアイコンタクトをとったり、自分の意見をはっきり表明し合うわけではないし、外国人と接する機会もありません。おまけに、私の夫は「日本人なんだから日本人的で何が悪い」という考えの持ち主です。私が「子どもに国際的マナーを」と思って、家の中で“Hi!”なんてやると、「何やってんだ?おまえ」とか言われそうな(笑)。

そういう日本的な環境で、「子どもを真の国際人に」と思っても、母親ができることはそう多くはないと思うのですが。

マック 子どもって本当にいろんな可能性を秘めていますよね。性格もどんどん変わっていきます。子どもがこれからどういうものを選び、どういう方向へ転がるか、無限の可能性がある。ですから、できるだけ多様な環境を与えてあげるのがいいと思います。

例えば、たとえ前川さんのご主人が関心を示さなくても、前川さんご自身が国際的なものに関心をお持ちなら、お子さんと一緒に英語の絵本を読んだり、CDを聴いたり、テレビに外国が映ったら、それについて話をする。海外の人と接点ができれば、お付き合いしていく。その中で、お子さんが今後、お父さん的なものとお母さん的なもののどちらを選ぶか分からないけど、選択肢は多様な方がいいでしょう。

前川 なるほど。ふだんから親が「世界を広げよう」と意識しているだけでも、違いが出てくるかもしれませんね。

尾崎 私の娘が通っている保育園には、障害を持ったお子さんがいて、その子は日本語でのコミュニケーションがまだうまくできません。でも、表情や身ぶり手ぶりで自分を表現していて、まわりの子ども達は、「あ、笑ってるな」とか、「身ぶりでこう示したら伝わるかな」とか、言葉以外でコミュニケーションしています。そのコミュニケーションと、外国人と英語で話すこととは、本質的には同じことだろうと思います。

マック 私もまったくその通りだと思います。真の国際人とは、自分との違いを持つ人たちと、分け隔てなく接し、コミュニケーションできる人なのだと思います。

尾崎 その保育園では日本の伝統文化を大切にしていて、日本の太鼓や踊りをやらせています。日本人としての自信を持ちつつ、日本について外国人に英語で伝えられる人になれたら、それはなお素晴らしいことだと思います。


コミュニケーション力はトレーニングで伸びる

マック そうですよね。お互いに自分を表現しあい、お互いの違いを知り、そこから新しい学びがあるということは、日本人どうしでも、外国人との間でも、同じですからね。