この質問に対して、「十分である(「どちらかといえば十分である」を含む)」と答えた教員が過半数を超えた項目は、「子どもの積極性」(70.1%)の1項目だけでした。 他の項目については、「十分でない(「どちらかといえば十分でない」)」という結果が並びました。例えば、「ALTなど外部協力者の来校頻度」では57.4%の教員が「十分でない」と答え、「使いやすい教材」では74.1%が、「指導のためのカリキュラム」では76.4%が、「保護者や地域の人たちの協力」では75.6%が、「指導する教員の英語力」では71.8%の教員が「十分でない」と答えています。
一方、保護者の小学校英語への不安としては、6割以上の保護者が「外国人の先生の数が足りないこと」「指導する先生の英語力が足りないこと」と答えています。
これらの数字からは、
●ALTなど外部協力者から十分な協力を得られず、
カリキュラムや教材の不足と保護者からのプレッシャーを感じながら、
外国語話者であるALTに授業を任せていた学級担任の戸惑い
が感じられるといえるでしょう。
課題は、質の高い指導者をどう確保するか こうして上記の調査結果を見てみると、2011年度から必修化される小学校の英語教育における重要課題は、「質の高い指導者をどう確保するか」であることが分かります。
これまでの英語活動の多くは、授業の中身はALTが中心となって進めてきたようです。では、ALTの数を増やせばよいかというと、もちろん事はそう単純ではありません。まず、ALTを増員するには、予算上の限界があります。また、外国人講師に大きく依存したまま、日本の英語教育を発展的に充実させていくというのは、そもそも設計図として歪みがあると言えるでしょう。
2011年度から実施される小学校の新指導要領では、外国語活動について、次のように示されています。 「指導計画の作成や授業の実施については、学級担任の教師又は外国語活動を担当する教師が行うこととし、授業の実施に当たっては、ネイティブ・スピーカーの活用に努めるとともに、地域の実態に応じて、外国語に堪能な地域の人々の協力を得るなど、指導体制を充実すること」
「外国語に堪能な地域の人々」として、日本人の民間英語指導者があげられます。 大手英会話教室だけでなく、自宅で開いているような小規模教室の英語の先生を含めると、全国各地で相当数の日本人の民間英語指導者が英語を指導しています。また、英語が得意で、これから英語指導者を目指そうとしている方々もいらっしゃるでしょう。小学校で英語が必修化されるのをきっかけに、「小学校の英語教育に関わってみたい」と考えている方もいらっしゃるでしょう。
前出のベネッセコーポレーションの調査では、小学校英語に望むこととして、9割以上の保護者が「英語に対する抵抗感をなくすこと」をあげています。このことからも、日本人の民間英語指導者が、小学生の前で身をもって英語を使い、指導することの意味は大きいでしょう。
●小学校の新指導要領は、外国語活動について、
「外国語に堪能な地域の人々の協力を得るなど、指導体制を充実すること」と示しており、
●全国各地には、英語指導経験の豊富な日本人民間英語指導者が多数おり、
●9割以上の保護者が望む「英語に対する抵抗感をなくすこと」においても、
日本人の民間英語指導者が小学校英語教育に当たる意義は大きい、
ということがいえるでしょう。
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