愛知県春日井市立神屋小学校 教諭 加藤拓由
2009年2月2日
キレイごと抜きの現場報告
小学校だから!できること 第7回
マイナスから立ち上がる担任たちが
日本の子どもの未来をつくる 【前編】
愛知県春日井市立神屋小学校
教諭 加藤拓由
レポート:小学校英語の現場から
2011年度より小学校で英語教育が必修化されます。小学校で英語を教える喜びと難しさ、意義と成果は、どのようなものなのでしょうか。本連載は、小学校で英語を教えた経験を持つ担任、JTE、ALTの先生方による“本音の”現場報告です。他では聞くことのできない現場の汗と涙をお届けします。第7回の今回は、中学校の英語教員から海外の日本人学校の小学校教員を経て、現在、愛知県春日井市立神屋小学校の教員でいらっしゃる加藤拓由先生にお話をうかがいました。その内容を、2月2日配信の前半と、3月2日に配信する後半の2回に分けてお送りします。
レポート:小学校英語の現場から

インドの日本人学校での体験が転機に

編集部(以下、編) 加藤先生が小学校英語を始められた経緯から聞かせてください。

加藤 私はもともと十数年間、中学校の英語教員をやっていました。その後、インドの現在のムンバイにあったボンベイ日本人学校で小学校担任を4年間やり、途中1年間の中学校教員生活を経て、現任校の春日井市立神屋小学校に赴任して3年目になります。

中学校の教員時代も、できる限り英語を使って授業を進めようと努力しました。しかし、自らの指導力不足・英語力不足に加え、生徒の「わからない!」という声や、受験英語の圧力に負けて、結局、「日本人が英語で授業するなんて無理だ!」とあきらめていました。

ところが、インドの日本人学校に赴任していた頃に、子どもたちの語学力の進歩に驚いたのです。日本人学校では小1~中3まで、週に1~2時間程度、英会話の授業がありました。授業はインド人の講師によるオール・イングリッシュでしたが、ほとんどの子どもたちは、短期間に講師の英語を聞き取れるようになるだけでなく、簡単なことは英語で意志表現できるようになりました。

よく、「海外で生活していれば、言語環境が違うから、話せるようになって当然だ」と言う人がいますが、ムンバイの日本人学校では事情が違いました。子どもたちは一日の生活時間のほとんどを家庭と日本人学校で過ごします。生活言語の中心は日本語なのです。もちろん、家庭には使用人のインド人もいますので、彼らとたまに英語で会話することはあるでしょうが、頻度はきわめて低いと言えます。

そんな状況にあっても、子どもたちはどんどん英会話を身につけていきました。特に、低学年の子どもは音から入るだけあって、きれいで自然な英語の発音を身につけました。もうひとつ驚いたのは、子どもたちが家庭でアニメのTV番組を見て理解しているということでした。音声は英語です。