聖学院大学人文学部子ども教育学科
小川隆夫
9月25日、この日は秋学期の初日、大学では素敵なゲストを迎えて講演会がありました。札幌市にある学校法人 清明学園 幼保連携型認定こども園おかだまのもり園長の谷島直樹先生です。
谷島先生は私の学科の卒業生で、在学中に学科が主催したオーストラリア研修に1, 2年生の春休みに2回連続で参加して海外の幼児教育に興味を持つようになったそうで、日本で異年齢保育の保育園で7年間勤務した後、30才でニュージーランドにわたり英語に苦労しながらも資格を取得、現地の保育園、小学校で教員をされていました。そして、2023年度より日本で現職につかれています。
現在は園長先生のお仕事の傍ら、たくさんの大学や学校などで講演をされて、次の世代、その次の世代のためにグローバルな視点を持った保育者養成のための活動を精力的にされています
講演ではニュージーランドの教育や保育園について、たくさんの写真とともに楽しくお話ししてくださいました。将来海外で保育の仕事に就きたい学生たちは興味津々で、講演後は別室に移り次から次へと質問をしていました。
特に多くの学生たちが強く興味を示したのは、資格がなくてもニュージーランドの保育園で働くことが可能だということでした。今年の前半、ワーキングホリデーでオーストラリアに渡る若者が増え、時給が良くても働く場所がないことが話題になりました。しかし、ニュージーランドでは保育の仕事を選ぶことができるそうですし、常に人手不足の状況だそうです。
谷島先生のブログによると保育士の勤務形態は大きくわけて3つあり、
①フルタイムで働く保育士…週35~40時間勤務
②パートタイムで働く保育士…週15~25時間勤務程度
③代理で入るための派遣・契約保育士…リリーバー(Reliever)
原則的に、働いている先生の80%は有資格者が必要で、
1クラス4人の先生がいるところでは、3人が有資格者、1人が無資格者
1クラス5人の先生がいるところでは、3人が有資格者、2人が無資格者
という割合だそうです。(2019年現在)
そして、日本人のねらい目は③のリリーバーだそうです。
その理由について、先生はこうおっしゃっています。
ニュージーランドでは、(と言うか欧米の国々では当たり前みたいですが)有休も有給の病休も取るのが普通という環境なので、リリーバーは重要なポジションになります。
あとは、先生が急に辞めて、次の先生が見つかるまでそこの枠を埋めるときなどに重宝されるので、掛け持ちでリリーバーをやる人もいます。しかも、家族がいる、家があるなどのニュージーランド人の先生は、フルタイムかパートタイムの時間を希望する人が多いので、リリーバーのポジションでずっと続ける人が少ないです。
これは卒業後に、ワーキングホリデーを経験したいという学生にはとても興味深い話でしたが、何人かの学生が、卒業後はニュージーランドで勉強するか保育園で本格的に働いてみたいと話すと、英語の話になりました。現地で資格を取る場合も正式に働く場合も上を目指すにはIELTS7.0以上が求められるとか。谷島先生も現地の語学学校に飛び込んで6か月やっても届くようなスコアではなかったそうで達成まで数年かかったとか。IELTSのスコアをアップさせるのは簡単ではないでしょうし、専門的に勉強する必要がありそうです。しかし、内向きな学生が多い最近、現地へ移住することや海外で仕事をバリバリしたいと考えている学生たちが身近にいることを頼もしく思うとともに、ぜひ挑戦してほしいなとエールを送りました。
谷島直樹先生のブログ
https://ameblo.jp/hoikushi-nz/entry-12786296343.html
著書
谷島直樹(2022)『ニュージーランドの保育園で働いてみた: 子ども主体・多文化共生・保育者のウェルビーイング体験記 』ひとなる書房