こどもと英語ニュース ~レポート 小学校の現場から~

2020年11月23日

中学校「授業は英語でやることを基本とする」

聖学院大学人文学部児童学科
小川隆夫

最近は寒い朝が多くなり、いよいよ秋も深まってきましたね。テレビではお節料理の通販CMが流れていてびっくりしました。さて、10月25日の日曜日、私はmpiのzoomによる「英語教育フォーラム」に参加しました。ゲストの先生方、お元気かな、お顔を拝見したいなと思いながら観ていましたが、最初に登場した安河内哲也先生の画面を観てびっくり。さすがに期待を裏切らない先生です。まず画像が鮮明で音が聞き取りやすいこと。

すっかりスタジオからの中継状態になっていたのです。松香洋子先生とのやり取りで自宅の部屋をスタジオに改造したことがわかりました。松香先生が予算はおいくらと聞くと40 万円とさらりと答えていましたが、かなり凝らないとそこまで予算はかけられないかでしょう。先生の後ろにはモニターがありパワーポイントの画像は、テレビで観るニュースのセットのようで生放送の臨場感がありました。まさにオンライン授業のプロという感じです。毎日オンライン授業をやっている私としては学ぶものが多かったです。さて、その後、TAGAKI Advanced 1・2・3の執筆者が登場しました。

スージー、全然変わらないで若々しい。デイミアン、相変わらずプレゼンが上手だなどと一般の参加者の皆さんとはちょっと違うことを考えながら講座を楽しみました。なかなか充実した内容で素敵な日曜日の午後を過ごすことができました。

さて、今月、私は5つの研究授業を見る機会がありました。久しぶりに中学校英語の授業を2つ見ましたので、今回はその報告をします。高等学校では平成21年改定の学習指導要領で「授業は英語で行うことを基本とする」という規定が導入されました。今回は、中学校では英語での授業がどのくらい浸透してきているのか見たいなという気持ちがありました。面白いことに1つめの授業は三人称単数の疑問文と否定文を日本語で説明する文法の授業、2つめは教科書から発展させて生徒とやり取りをしながらSDGs(持続可能な開発目標)の話題にまで発展させたAll Englishの授業でした。中学校では来年度4月から新学習指導要領が完全実施となります。学習指導要領には高校同様に「授業は英語で行うことを基本とする」という規定が入りました。
文部科学省(2018、p.87)は、その理由として「もしこれまで日本語での文法説明や本文の和訳などに偏った授業を行っていたならば、そうした授業の在り方自体を見直し、必要な意味内容をいかに英語で伝えることができるかを考えて授業を工夫改善していかなければならないという意味が込められている。」と述べています。1つ目はまさにこれにぴったり該当してしまう授業でした。やはり教師は自分のやり方があるとはいえ授業の改善を心がけるべきだと思いました。また、中学校で「授業は英語で」が規定されたのは小学校外国語科との接続が大きく関係しています。文部科学省は「小学校の外国語活動における教師や児童の豊富な英語使用の実態や、それを経験した児童の英語が使えるようになりたいという学習意欲の高さを中学校での学びに生かすためにも、このような環境づくりが重要だからである。」と述べています。
授業で英語を使うということはただ単に日本語を英語に変換することではありません。つまり説明を英語でするということではなく「実際のコミュニケーション場面」「実際に英語を使用して互いの考えや気持ちを伝え合う」という言語活動にするために必要なのです。
2つめの授業は、教科書の中の主人公に届いたポストカードからアフリカにいる動物の話題になり、絶滅危惧種のゴリラの話へと自然に結びつけSDGsの世界の人々が協力しようという17のゴールの1つLife on Landにアプローチして行きました。常に教師と生徒とのやり取りによって進められる生き生きとした授業でした。中学校での新学習指導要領の実施まで数か月となりました。全国の中学校の先生の授業への工夫改善が進んでいればいいなと思った次第です。


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