こどもと英語ニュース ~レポート 小学校の現場から~

2012年6月7日

“Hi, friends!” を使った外国語活動 | mpi

2012年6月7日
“Hi, friends!” を使った外国語活動

小学校英語指導者(J-SHINE)育成トレーナー
枚方市小学校英語指導助手・樟葉小学校勤務
松延亜紀

レポート:小学校英語の現場から

新学期が始まりました。
今年度から新教材”Hi,friends!”を使っての外国語活動です。
溝口さんが書かれていましたように、文科省のコンセプトは変わっていないので内容も大きな変化がありません。 英語ノートで進めてきた3年間で行った活動案の多くはそのまま新テキスト”Hi, friends!”でも使えるので、先生方も安心されていると思います。

枚方市は英語ノート配布の年に、指導書を独自に作成していますが、今年度はテキストが変わった事もあり、その指導書が更に充実した内容で再作成されました。
そこには、これまでの研修会でJTEが紹介したいくつかの活動案も取り入れられました。

また4月初めに市教委の研修会で『Hi, friends!』の副教材を紹介して頂き、また年度末には、新年度に先だって、各学校へ“Hi, friends!”の資料を送ってくださいました。
  それを元に、3月のJTEの定例会では、新年度の最初の単元の活動案についてシェアすることができ、そのお陰で私たちJTEも戸惑うことなく新学期がスタート出来たと思います。

さて、”Hi, friends!”ですが、本は薄くなりましたが、副教材は充実したと思います。これは4月号でもお話に出ていましたね。
たとえば5年生の「世界のいろいろな言葉であいさつしよう」ではDVDの中に数か国の挨拶が入っており、町の様子が流れた後、同じぐらいの年の子どもが出てきてあいさつします。最初はその国の言葉であいさつし、次に英語であいさつをしている様子が収録されています。

ここでは子どもたちにどの国のあいさつを聞きたいか英語で尋ね、リクエストに応じてその国のDVDを紹介したのですが、みんな興味深々でだんだんとリクエストの手が増えました。
担任の先生はその勢いにも負けずに「しっかり名前を聞き取ってみよう。」と声掛けをされ、聞き取りにくい名前の時は、「もう一回流すからよく聞いてや」と声をかけられ、目的をしっかり達成させるよう導かれていました。
こういう所は、さすが担任の先生だなあと感じました。

外国の名前は子どもたちにとっては聞きなれないものも多く、おかしな音にも聞こえるのか、英語の自己紹介を聞くだけで、クラスはかなり盛り上がりました。

JTEが副教材を検討し、どのように活用するか知恵を絞り、担任の先生がクラスに応じた声掛けや工夫を加えることで、子どもたちが生き生きと活動できるのが“TT(ティーム・ティーチング)”の利点だと感じます。

次にワークシートですが、先に溝口さんが述べられたように、こちらも更に充実しています。
文科省のカリキュラムでは、5年生のLesson1は2時間になっていますが、枚方市ではその後2時間アルファベットに慣れ親しむ時間を入れて最後に名刺交換を行う流れになっています。
その為5年生にもヘボン式を紹介し、自分の名前を英語で書いてみる事にゆっくりではありますが、チャレンジさせられました。
またその際に副教材に含まれている名刺のシートを利用しました。
2種類の形で8枚名刺が作れるようになっていますが、限られた時間内にできるだけたくさんのお友達と名刺を交換してもらいたいという点を“めあて”にしたのでワークシートはあらかじめ切り離しておいたものを配布し、時間を制限して名刺を作成してもらいました。

一人5枚の割り当てにしたのですが、名詞の作成も楽しそうに友達と取り組み、その後、あいさつのダイアログを練習して名刺交換の活動に入った際も、どの子も笑顔で会話を交わし、名刺を交換していました。
「英語」だからちょっとわくわくし、また、あまり親しくない友達ともできる活動のひとつだったと思います。

6年生では最初の単元がアルファベットの小文字の「a~z」ですが、アルファベットが副教材に含まれていないので、5年生の副教材に含まれている大文字のアルファベットをカードにして、大文字の復習に活用することもできました。
このように学年を問わず、必要な教材を必要な学年で利用することも可能です。
まだまだ使えるワークシートがたくさん含まれていると思いますので、またこの場で活用方法や子どもたちの反応をご紹介していけたらと思います。

今年度は大阪府の「小中連携教育実践研究事業」の関係で、5、6年生には地域の中学の先生と“TT(ティーム・ティーチング)”で授業を行っています。
中学の先生は、以前にも小学校外国語活動の経験がある方なので、小学生の目線での授業を上手に進めてくださっています。
一緒に過ごす時間が多いので、打ち合わせも、授業の振り返りについても話す時間が十分あり、それに基づいて枚方市の指導書に添って指導案を毎回JTEが作成しています。

また、「コミュニケーションの素地を育てる」小学校での外国語活動では、日ごろから子ども達をよく理解している担任の先生が『不可欠な存在』と感じているので、先生方には授業の際に子どもたちが活動しやすいような適切な声掛けや、授業を振り返ってのアドバイスを頂くようにお願いしています。まだプロジェクトが始まったばかりなので互いの利点が生かせる、より良い形を現在模索しているところです。

その他、1年から4年までは担任の先生とJTEで授業を行っていますが、先生方はお忙しい中、意欲的に授業の打ち合わせをしてくださり、「子どもたちが楽しく取り組める」事を第一に考えて、担任主導の授業ができるように努力してくださっています。

英語ノートでスタートし、今年度、“Hi,friends!”に変わりましたが外国語活動は4年目、必修化となってからは2年目になります。

各地でばらばらに小学校英語がスタートした頃に比べたら確実に前に進んでいると感じます。
今後、私たちJTEが研究を重ね、より良い授業案を先生方に提示させて頂き、担任の先生がその指導案を自分らしい色に変えて子ども達に提供してくださることで、意味のある外国語活動が根付いて行くのではないかと希望が膨らみます。


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