松香洋子の元気ブログ

2012年7月10日

慶応大学 Front Runnerでの講演

6月29日金曜日。
大学生が様々な問題を勉強しあい、語りあうという大学公認のサークル『Front Runner』から呼んでいただき、夕方6時半から日吉キャンパスに伺いました。

3年前に結成されたサークルだそうですが、80人のメンバーがいるそうで、当日も60名くらいの学生さんが、きちんと楕円形に机とイスを並べ、熱心に話をきいてくれました。

求められたテーマは、
「小学校における外国語(英語)活動の現状」というものでしたが、
学生さんの興味は、日本の英語教育、今求められているグローバル人材とは、といったことが中心的でした。

小学校における外国語(英語)活動クイズをやってもらってから、
諸外国における小学校での英語教育、J-SHINE(小学校英語指導者認定協会)の活動について私がお話をさせていただき、その後、質疑応答に入りました。


私の記憶に残った質問を書いてみましょう。
詳しくは、このグループのサイトをみてください。

Q: これから、グローバル人材に求められる英語力とはどういうものなのか?英語が話せるというだけでよいのか?

Q: 文部科学省や、教育委員会等の行政が考える施策が、現場に徹底されていかないのはどうしてなのか?何が障害なのか?

Q: 小学校で英語を導入しても、それが中学校へ連携されていないのであれば、やる意味がないのではないか?

Q: 小学校で外国人ALTを雇って、5,6年生を対象に英語の歌やゲームをやっても、ただの遊びで、無駄なのではないか?

Q: 中学校の時間割をみると、国語の時間より英語の時間が多いが、もっと国語をしっかりやった方がよいのではないか?

Q: 塾でバイトをしていると、中学生は英語を学ぶことについて、まるで動機、理由を持っていない。何がそうさせているのか?

Q: 高校では、やはり高度なものをきちんと読めるような英語教育をした方がよいのではないか?

Q: 高校でこれから英語で英語の授業をするというのが始まるということだが、先生たちが納得していなければ、無理であり、時間の無駄なのではないか?

Q: 高校時代は受験英語ばかりで、大学にきてはじめてディスカッションとか、ディベートがあり、自信があった筈の英語だったのに、できない自分になってしまう。どうにかならないのか?


私の第一印象は、今どきの大学生は、本当に礼儀正しく、明るく、やさしく、気持ちがよい若者だということです。そして、素直だということです。
自分がこれまでにしてきたことを肯定し、今ある体制に意義を求めているという印象をもちました。

ほとんどの部員が1年生、それに2年生ということで、日本全国から受験英語をくぐって慶応大学へ入学したばかりなので、自分がこれまでに受けた英語教育と大学での英語教育、世界へ羽ばたいていくための英語教育の差に戸惑っていると感じました。
そんな中で、小学校へ英語を導入しても、無駄なのではないか、という疑いが強くでていると感じられました。


私が大学生の皆さんに伝えたことは、小学校から外国語教育をしていない日本は世界でも珍しい国であること、アジアの一員としてこれからやっていく日本ですから、国民の多くが共通言語である英語くらいはできるようになる必要があり、そのためには、子どもの世代から、できることは何でもやる、積極的な態度の育成、世界観をもたせること、地球市民意識を持たせること、人とかかわりあいたいという気持ちを育てること等、そんなことに英語を導入することが役立つ、ということです。


いわゆる「英会話教育」というものに対する根深い疑問も感じます。
私としては、日本を代表する大学の一つである慶応大学をでるような逸材は、将来、どのような仕事につくとしても、発表をしたら質疑応答ができること、このスピードの早い世界で英語で生の情報をえていく覚悟をもつこと、世界の人々と心を通わせることができるような英語力がほしいのです。
それを「英会話教育」とよぶかというと、たしかに釈然とはしませんが、レベルアップは必須です。


この日、一番印象に残ったのは、グループの中に韓国からの留学生がいて、短く言葉をかわしただけでしたが、
「日本は進んだ国だと思って留学してきたら、英語教育といい、ITといい、あまりにも遅れているのでびっくりした。」という言葉でした。
慶応大学だけでも、韓国からの留学生は200人ぐらいはいるということでした。それに対して、日本から韓国への留学生は何人?
ここらあたりが日本の未来にたいして大きく不安を感じる1つの要素です。


それにしても、このグループのメンバーのように、夜を徹して議論することもしばしばというまじめな若者がいることは嬉しいことです。
テーマは限らず、広く勉強していることで、今後のますますの発展をお祈りしています。


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Front Runnerのサイトはこちらから。
http://www.front-runner.net/

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