松香洋子の元気ブログ

2013年8月16日

2013年8月14日 ブリスベン講座が終わりました。

J-SHINE創立10周年記念イベントのオーストラリア、ブリスベン講座が終了しましたのでここに報告させていただきます。

J-SHINEの52の登録団体のうち、海外の認定登録団体は11校あり、その内オーストラリアは4校ありますが、今回の記念イベントを海外で開催してくれたのは、このCareer up, Brisbaneだけです。

海外でJ-SHINE の資格講座を受講した後、ほとんどの皆様は日本に帰国するため、フォローアップ講座というものは成立しないのではないかという問題を抱えながら、トレーナーであるピアス佑里子さんがその壁を乗り越えてくれました。ピアスさんの学校では、2012年現在で570人の認定者をだしていますが、4週間の講座のあとでは、現地の保育園等で実習をして資格を得てもらっているそうです。

全国30ヶ所で開催されつつある記念イベントの1つが海外でも開催されたことは本当にありがたいことです。私もたまたま、娘一家が居住している地であるため応援をかってでましたが、なかなか実態を把握できない海外校での実践の様子がわかって勉強になりました。

今回の出席者は全部で19人でした。オーストラリア滞在が25年とか17年という経験者もいれば、来たばかりという人もいました。元は教員だったという人も5人もいました。

さてこの日は、まずは私が「どうして日本人の指導者が必要なのか」というタイトルのもとに、日本の英語教育改革、小学校英語活動の改革、入試改革、高校での英語で英語を教えるという取り組み、小学校でのこれからの取り組み、についてお話をさせていただきました。

2020年の指導要領の改訂にむけて、小学校における英語活動もいよいよ大きなターニングポイントを迎えることになりそうです。教科化、低学年化、時間増、評価基準の設定、専門教員の雇用、IT化など、課題はたくさんありますが、日本の英語教育が劇的に変わる大きなチャンスととらえて、J-SHINE の活動も進めていく必要があります。

J-SHINEは現在、およそ4万人の資格認定者をだしていますが、2018、2019、2020年にむけて、専門教員の採用が始まることを想定して、英語力の査定、小学校で英語だけを使って指導できる指導力があるのかの査定などにむけて、さらに努力を続けていくことになるでしょう。一言でいえば、英語が使える人、英語を使ったことがある人、海外に在住したことがある人、十分な英語力がある人、小学校という現場を知っている人、大人数の子供に英語を教えるというスキルを持っている人が、教員免許をもっていなくても指導にあたる時代がくるということです。

次の時間は、ピアスさんのご主人によるフォニックス講座でした。フォニックス指導は英語圏の子供たちにとっては読めるように、書けるようになるための指導法であるけれど、日本人の学習者がよりよく話せるためにもフォニックスの場がある、という見解が述べられました。ジョージさんは日本でALT の経験もあるので、その一言はうれしかったです。

ワークショップは、まずは単語のパターンを見極める練習として、日本語と英語で徹底的に違うシラブルの数を確認しながら、英語人は強弱がはっきりしていないと相手の言っていることが理解できないことを学びました。
それを練習する方法として、かなり太いゴムに、単語をシラブルごとに切ってクリップでとめて、のばしたり、縮めたりしながら、英語と日本語の違いを視覚的に体験しました。おもしろいですね。

次には、単語を、1語1語言うという話し方が英語ではありえない、というデモがあり、文の中の強弱、単語のつながり、それによる音の変化などにいくところでしたが、ここで時間切れ。とてもフレンドリーなジョージの講座はこれで終わりました。

サンドイッチと巻き寿司のお昼をみんなで食べながら、様々なバックグランドを持った人と交流を楽しみました。この時間は貴重なものでした。

午後からは、ピアスさんによる「活動集」の29番、「ABC 総選挙」を体験するワークショプでした。参加者を5つのグループにわけて、自分の名前の中にあるアルファベットをグループごとにカウントするというものでした。
日本語の名前の場合は、1番多いのがK、2番がAとI、 3 番がOというものでしたが、この活動は違う国でやればそうとうな違いがでて面白いだろうと思いました。

まとめとして、ピアスさんがこれを実際に日本の小学校でやってみた経験をシェアしてくれましたが、子供の名前を書いたものをアルファベットごとに切り離すというのは後の集計が大変というだけでなく、名前を切り刻むというのは問題があるという見解が述べられました。日本の小学校では、子供の顔などが書いてある絵に画鋲をさすことを禁じている学校もあるということで、細かい配慮が必要なのだと参加者も納得していました。

最後の締めとして、私が参加者の皆さんに、短い間でも、長い間でも、いったん日本という国を離れて、外から日本を眺めてみるということを実践している皆さんにエールをおくりました。私自身も年に2回ぐらいオーストラリアにくることを長年繰り返していますが、日本だけに特化したものの見方に固まらない貴重な時間だと捉えています。
また、私と英語教育の改革というテーマには、35年という長い歳月がかかっており、参加者の皆さんが今、英語教育について色々と悩んでいることはどれも尊いことで、きっと何かの役にたつことだと申し上げました。いろいろとある問題を知りながらも、文句を言うだけでなく、自分が出来ることをする、そのような日本人が増えていることを海外で実感することはとても嬉しいことでした。

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