子どもと英語ニュース ~今月の新着記事~

記事画像
2026年2月3日

フォニックスの魔法で“英語イヤ”を“英語好き”に変える5ステップ #3 魔法の第一歩!「読めた!」の感動体験! 短い単語を読む「ブレンディング」の練習


「読めた!」の感動を体験!ブレンディングで単語が読める
(目的:音を繋げる練習と成功体験)

この連載は、「指導者が教えない」という前提で進める、ひとつの実践記録です。
使用しているのは、昨年9月に刊行された『小中学生のための発音トレーニングブック』です。
対象は、これまで学校以外で英語学習の経験がない中学1年生のMさんです。
私とMさんが直接関わるのは、月1回・30分程度に限られています。学習内容を教えることはせず、

・学習の進み具合の確認
・次回までの進め方の相談
・疑問点への対応
・簡単なインタビュー

を行います。
私の役割は「教える」ことではありません。いわゆる自主学習を前提としたこの取り組みにおいて、学習の進め方を一緒に整理し、必要に応じて背中を押す“学習の伴走者”のような立場です。実際の学習は、すべてMさん自身がこのテキストを使って、自分のスマホで音声や動画を視聴しながら自宅で進めます。
果たして、自主学習のみでフォニックスを通して「読む力」を身つけ、英語への苦手意識を変えることができるのか。試みが始まって約2か月あまりが経ちました。

第2回目(前回)までにMさんが習得したこと

第2回目(前回)までに、Mさんが取り組み、習得した内容は次の2つです。

テキスト2番 フォニックスアルファベット①(P9)、 テキスト3番 フォニックスアルファベット②(P10)

当初の最大の課題は、Mさんが無理なく、安心感をもって自主学習に取り組めるペースを作ることでした。
また、Mさんがどの程度自宅でトレーニングに取り組めるかは未知数だったため、課題はあえて最小限に抑え、フォニックスの基本の「き」であるフォニックスアルファベットのみに絞りました。
その結果、この2か月でMさんは徐々に学習のペースをつかみ、自分のスマホを使って音声や動画を視聴しながら、真摯に課題に取り組んでくれるようになりました。

特に感心しているのは、ためらうことなくしっかりと口を開け、正しい発音を身につけようとするMさんの姿勢です。英語への苦手意識を何とか克服したいという真剣な思いが、こちらにもひしひしと伝わってきます。
Mさんは幼い頃から空手に励み、現在も週3回道場に通っています。その経験から、自分で目標を立て、それを一つずつクリアしていく習慣が自然と身についているのかもしれません。
第2回目は、私自身も「これはいける!」と手応えを感じ、期待が大きく膨んだ回でした。

第2回(前回)の課題について

第2回の課題は、以下の内容でした。
・テキスト5~8番 26文字の音(フォニックスアルファベットのまとめ)
・テキスト9番以降 子音

 ※いよいよ、音をつなげて短い単語を読む「ブレンディング」に入ります。

子音のセクションは全21ページと分量が多いため、自分のペースで、できるところまで進めることを課題としました。
また、チェッキング、タイピング、ゲームなどのアクティビティについては、順番にこだわらず、自由にチャレンジしたり、必要に応じてスキップしてもよいことを伝えています。

開始前のインタビューより

鈴木:今回は課題が「子音」だったので、たくさんあって大変だった?

Mさん:最初はいい調子でどんどん進めていたのですが、お正月に風邪をひいてしまって、最後まではいきませんでした。25番の r までやりました。

鈴木:そこまで進めたんだね。手順で難しかったところはあった?

Mさん:特にはありません。テキストの通りのパターンで進めていました。

鈴木:それはよかった! 音をつなげて読む「ブレンディング」には慣れた?

Mさん:はい。聞きながらやっていたら、すぐに慣れました。

鈴木:よかった! 前回やったフォニックスアルファベットは、もうすっかりマスターできたと思う?

Mさん:何日かに1回は唱えていました。苦手な発音もあったので。

鈴木:定期的に振り返ってくれていたんですね。素晴らしい! その苦手な発音は克服できたと思う?

Mさん:はい。それから、前回最後にちょっと教わった「音書き」もやってみました。

鈴木:早速試してくれたんですね。「音書き」の効果は実感できたかな?

Mさん:すごく!

鈴木:特にどんな点かな?

Mさん:自分で音を言いながら、どの文字を書いたらいいか想像がつくし、正しく発音できるし、文字(つづり)も間違えにくいです。

鈴木:一石二鳥、三鳥って感じかな?

Mさん:はい。

ブレンディングや音書き*といった新しい要素も、テキストと音声を手がかりに、学習の流れの中で自然に取り入れている点が印象的でした。

*「音書き」とは、音を言いながら文字を書くことで、読む力と書く力の両方を育てるための活動です。フォニックスにおける encoding(音から文字へ表す力) にあたります。

さらに成長したフォニックスアルファベット

最初に、前回の課題となっていたフォニックスアルファベットを、確認のため改めて唱えてもらいました。
前回私がアドバイスした、

・o の口の開け方がやや足りなかった点
・h に余計な声が混じっていた点

の2点は、いずれもしっかりと修正できていました。自主学習の成果がはっきりと感じられます。
今回、私が新たに伝えたアドバイスは1点のみです。
r と w の発音が似て聞こえるため、その違いを意識して区別することを伝えました。
w は、舌ではなく唇を主に使い、唇をすぼめて胸にひびかせる感じで発音するとよい、という点を確認しました。

「子音」の基本ページの確認

次に、今回のメインテーマである「子音」ページの確認を行いました。

Mさんは25番まで学習したとのことだったため、そのページを使って様子を見ることにしました。
「家でやっているように進めてみてください」とお願いすると、Mさんは慣れた手つきで自分のスマホから音声を再生し、ページの最後まで、テキストに示された以下の手順に沿って学習を進めてくれました。

・聞こえた音をまねする
・単語の意味を絵で確かめる
・聞こえた音を指さす
・指さしながら声に出す
・指でなぞりながら単語を読む

Mさんは、何か特別なことをするわけではありません。
テキストにある通りに、淡々と、サクサクと(?)そしてテンポよく学習を進めている様子が印象的でした。
ブレンディングのコツもしっかりと身についており、私はそばで見守りながら「その調子!」と声をかけるだけで、特にアドバイスや修正をする必要はありませんでした。
この様子を見て、「これなら、家で自分の力でどんどん先に進めるな」と感じた瞬間でもありました。

続いて、Mさん自身が「とても効果的だと感じている」と話していた「音書き」にも取り組んでもらいました。
今回の試みの性格上、こちらから確認テストのようなことはできるだけ避けたいと考えていましたが、Mさんが「やってみたい」と即答してくれたため、テキスト9番(b)から15番(j)のページで扱われている7つの単語
(bus, cup, dig, fan, gum, hit, jet)を音書きしてもらいました。
実際の様子は、ぜひ動画をご覧ください。

音書きの学習風景

フォニックスアルファベットで26個の固有の音を身につけることで、「読む」「書く」「発音する」という力が同時に育ち、まさに“一石三鳥”の効果が生まれていることを実感しました。そしてその実感が、Mさんの学習にさらに加速度を与えていることも、はっきりと感じられました。

おまけの活動紹介

もうひとつ、印象的な動画をご紹介します。

42番のゲームに取り組む様子

42番のゲームです。
このページは少し変わった形式で、左手でページ左側の単語を、右手でページ右側のイラストを、同時にタッチして進めていきます。今回は、このページに初めてチャレンジしてもらいました。
わずか2回取り組んだだけでしたが、1回目よりも2回目のほうが動きが速くなり、とても楽しそうに取り組んでいる姿が印象的でした。さすがMさん。反瞬時に判断し、動作につなげる力もさすがだと感じます。

Mさんは以前から、「単語の意味は日本語で説明されるよりも、イラストで見たほうがすぐにイメージしやすく、思い出しやすい」と話してくれています。
このゲームを通しても、その感覚がよく表れていました。
今後 dig や fix といった単語に出会ったときにも、イラストを思い浮かべることで、自然に意味を捉えていけそうです。

最後のやりとりから

鈴木:ここまでとても順調ですね。自信がついてきたかな?

Mさん:単語については、自信が出てきました。

鈴木:では、次にどんな力がつけばいいと思っていますか?

Mさん:あとは、学校の教科書に出てくるような文が、上手に読めるようなりたいです。

鈴木:単語を読むだけでなく、実際に文を読む力ですね。では、まず第一歩として Story(57番~62番)に取り組んでみましょう。テキストの手順に従って進めてみてください。

Mさん:はい。

Mさんの言葉から、これまでの学習をとても冷静に振り返っている様子が伝わってきました。
「ブレンディング」や「音書き」によって単語を読む力には自信がついた一方で、文章を読むことについては、まだ課題があると感じている——。できるようになったからこそ、次に必要な力が少しずつ見えてきているように感じます。 実は、このタイミングで初めて Story(実際にお話を読む体験)が登場することには、はっきりとした意味があります。

Mさんも何となく感じ取っている通り、英語の文を読むためには、フォニックス学習に加えて、もう一つ身につけておきたい要素があります。それが、本書でいう「パワーワード」です。(詳しくはP64~65)では、「パワーワード」とは何なのか。そして、パワーワードにどのように取り組んでいけばよいのか。
この点については、次回あらためて詳しくお伝えしたいと思います。

今回の使用テキスト

次回に向けての宿題

・43-52番の短母音
・57-62番のStory
時間があればサイレントeがどんなものかも見ておくこと

執筆:鈴木美香

津田塾大学学芸学部英文学科卒業後、インクルーシブ教育を実践する東京都の私立総合学園で教職に就き、現在に至る。その間、米国マサチューセッツ州ボストン東スクールに13年間勤務し、現地の子どもたちを指導。米国レスリー大学大学院を修了し、教育学修士号を取得。

2000年に帰国後、mpi英語指導者資格、mpiフォニックス指導者認定を取得し、のちにmpi英語指導者養成セミナー講師に就任。現在はSuzuki English Studioにて幼児から高校生までを指導。

『小中学生のための発音トレーニング - フォニックスで読む力がつく‐』(mpi刊)共著者。


記事一覧に戻る