2016年11月28日
雪の日は太陽がアイスクリーム作っているのさ!

小川隆夫
聖学院大学特任講師
J-Shineトレーナー検定委員
中央教育研究所小中高大英語教育プロジェクトメンバー
玉川大学教職大学院講師

レポート:小学校英語の現場から

 季節はどんどん進み、日ごとに寒くなってきましたね。皆さん、お元気でしょうか。今日は自宅で幼児の歌の指導を考えていた時、何気なく机の上にあったSuperstar Songs2のテキストをペラペラとめくると、おもしろいことを発見しました。
 Songs and Chantsの中の1曲、“What’s the weather like today?” で始まるThe Weather Song (お天気の歌)は、読者の皆さんは、きっと何度も子どもたちと歌っていることでしょう。
 でも、4番と5番はわかりますか。
Songs and Chantsでは下のように3番までしか出てないのです。

1. It’s sunny today. It’s sunny today.
  The sun is showing his face.
  It’s sunny today. It’s sunny today.
  The sun is showing his face.
2. It’s cloudy today.
  The sun is hiding his face.
3. It’s rainy today.
  The sun is washing his face.

 きっと、これで完結だと思っている人が多いのではないでしょうか。
しかし、この歌には4番、5番があります。それがSuperstar Songs2に載っているのです。4番は雪の日で、太陽はアイスクリームを作っています。そして、5番は風が強い日で、太陽はどうやら自分の家を掃除しているようです。

4. It’s snowy today.
  The sun is making ice cream.
5. It’s windy today.
  The sun is cleaning his house.

 snowyとwindyには納得ですよね。実は私はこのSuperstar Songs2のアレンジが大好きです。Songs and Chantsはお遊戯ができそうなアレンジですが、それとは全く違った大人っぽいアレンジでギターのアルペジオがきれいです。 男性も歌っています。機会がありましたらぜひ聴いてください。

 今回、コラムでこの歌を取り上げたもう一つの理由は、この歌を子どもたちに教えるたびに良くできているなと感心しているからです。一曲の中に、将来ずっと役立つ英語の知識がいっぱいつまっているのです。
 まず、現在進行形です。The sun is showing his face. 次はThe sunと太陽にthe がついています。天気をIt’s sunny.とitを使って言っています。そして、show, hide, wash, make, cleanと動詞が5つも出てきます。そうそう、その上、太陽をhisと男の子にしています。
 この歌だけでも中学校で勉強することがいっぱい学べます。もちろん子どもたちは学ぶなんて意識は全くないでしょうが、何度も繰り返し歌うことで英語が皮膚感覚になっていくのです。中学生になっても、大人になっても、文法知識を結びつけなくても、天気を言う時はすぐに英語が口をついて出てくるようになるでしょう。

 子どもたちは、こうした歌やチャンツを大人よりずっと早く簡単に覚えてしまいます。リズムやメロディーに乗ってチャンクとして固まりで表現を覚えてしまうからでしょう。Three Little Monkeysなどノリノリになって何度か歌ってジャンプしているうちに、CDの発音とそっくりにすぐに覚えてしまいます。しかし、そこにもちょっと秘密があったのです。

  Three little monkeys jumping on the bed
  One fell off and bumped his head
  Mama called the doctor
  And the doctor said
  No more monkeys jumping on the bed

 下線のところを見るとつづりは違いますが、しっかりと韻を踏んでいます。歌や詩ではこれが一定の間隔で出てきます。これをライミング(押韻)といいます。
 Superstar Songsには、「ライミング語の聞き分けは、単語の中の同じ音に気づくことが基礎になります。この音のパターンに対する意識が育つと「音のチャンク(固まり)」が耳に残り、同じパターンを持った未知の単語に出会った時も素早く反応できるようになります。こうして耳の感度を上げることで、英語の音の土台を築くことになります。」と書かれています。

 子どもたちは何度も繰り返して歌っているうちに、ライミング語を聞き分け、音のチャンクが耳に残っていくのです。だからCDの英語の発音とそっくりに歌えるのですね。
 ぜひ良い歌やチャンツをクラスの中に上手に取り入れて耳の感度を上げ、音の土台を築いていきましょう。これからはパーティが増える時期、楽しい英語の歌をいっぱい歌えそうですね。ライミング語がいっぱいありそうです。

プロフィール

小川隆夫(おがわたかお)
聖学院大学特任講師、J-Shineトレーナー検定委員、中央教育研究所小中高大英語教育プロジェクトメンバー、玉川大学教職大学院講師
立教大学大学院異文化コミュニケーション研究科修士課程修了、英国立リーズベケット大学英語教授法修士課程修了
鳥飼玖美子氏のもとで「英語コミュニケーション教育」を学び、松香洋子氏を児童英語の師とする。埼玉県内の小中学校で33年ほど勤務し数々の英語活動の実践を発表する。
著書『先生、英語やろうよ!』 『高学年のための小学校英語』(mpi刊)は、小学校の先生方から英語活動のバイブルと呼ばれ圧倒的に支持されている。