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レポート:小学校英語の現場から
すでに全国小学校の97.1%〈平成19年度文部科学省調査〉2万1220校で何らかの英語活動が行われています。小学校学習指導要領では、「授業の実施に当たっては、ネイティブ・スピーカーの活用に努めるとともに地域の実態に応じて、外国語に堪能な地域の人々の協力を得るなど、指導体制を充実すること」とされています。2011年の高学年の小学校英語必修化に向け、各自治体、学校では様々な取り組みをはじめています。
斎藤 誠子
2010年3月2日
小学校英語活動報告
〜学級担任との密な協力が成果を生む〜
J-SHINE小学校英語指導者認定者
青森市国際交流ボランティア協会 副会長
mpi パートナー会員
斎藤 誠子
レポート:小学校英語の現場から
(1)英語支援者として小学校に入ったきっかけ
息子が通う青森市内の小学校で、2000年夏に「総合学習(国際理解)ゲストティーチャー募集」が始まったのがきっかけでした。かつてアメリカに滞在していた時に、現地の小学校で地元の子供たちに日本文化を教えた経験があり、帰国後は「日本の子ども達に英語の楽しさ、英語圏の文化を伝えたい」という思いを強くしていたため、かっこうな機会だと思いこれに応募しました。最初はボランティアとして活動していましたが、2005年に校長先生の推薦で、青森市教育委員会に「特別非常勤講師」として採用され、現在に至っています。

(2)現在の活動状況

1.学校現場
青森市の教育委員会には7人の外国人[ALT(外国人指導助手)6人・CIR(国際交流員)1人]が市内の小学校に派遣されています。その派遣回数は小学校によって様々です。英語活動への取り組みも学校によって大きな違いがあります。

私が関わっている児童数約650人の青森市立造道小学校では、1〜4年生では総合学習だけではなく、国語や音楽の時間の中にも外国の文化に触れる活動が取り入れられています。
1〜5年生時の市内在住の外国人(アメリカ・イギリス・韓国・フランス等)との交流、さらに造道小学校の特色として挙げられる6年生時に実施される米軍三沢基地内(青森県三沢市)のカミングス小学校との交流プログラム(8年間続いています)は好評です。
子ども達にとって日ごろの学習の成果を実際に感じ取り、その後の学習のモチベーションアップにも繋がる、とてもよい機会となっているからです。
造道小学校のもう一つの特色は、JTEの私の提案に対し、とても前向きに取り組んで下さることです。学校現場は外部講師に対して「閉鎖的」と耳にすることもありますが、造道小学校は校長、教頭、教務主任の先生方が非常に協力的かつオープンで、一緒に考えて下さるのでとてもありがたく思っています。

2.学級担任とのかかわり
授業のプランは、学年担当の先生が大まかなテーマを決め、それを具体化する詳細な計画は私が担当します。特に、1〜4年生では少ない活動時間数を有効に活用するために、「学習のゴール」をしっかりと定め、授業の前に学年の先生方とT1・T2の役割分担を話し合い、齟齬のないように計画を立てます。

授業風景
指導案は表でまとめ、どのような流れで授業が進んでいくかを学級担任に前もって知っていただきます。「あれもやりたい」「これもやりたい」とついよくばってしまいがちな私は、ややもするとアクティビティを盛りだくさんにしてしまうきらいがありますが、特に低学年では一つの活動に時間がかかることを配慮しなければならないことを忘れず、必要以上の負荷を子ども達にかけないように心配りをしています。
歌、お話、ゲームなどのアクティビティは私が主導で進めますが、子ども達の性格などクラスの実態を良く知っている担任の先生方が、全員が参加できるように協力して下さいます。
たとえば、私のジェスチャーが分かりにくい場合は、代わって大きなジェスチャーをしてくれたり、「with good rhythm」と言ったら「タンバリン」でリズムを取ってくれるなど、先生方も前向きに参加して下さいます。
先日の4年生の授業も、先生との共同作業がうまくいった良い例として挙げられます。
それは「バナナじゃなくてbananaチャンツ」のひとコマ。青森市は津軽弁の町です。「バナナ」という単語は、いわゆる標準語と津軽弁とではアクセントがかなり違います。担任の先生は「バナナ(津軽弁)じゃなくて、バナナ(標準語)じゃなくて、banana」とチャンツに即興アレンジでフォローしてくれました。
標準語を経由することにより、子ども達には違う「音」が耳に入りやすくなりました。ある意味、地域の特徴を利用した応用編といってもいいかもしれません。
このように授業を効率良く進めるためには、各学年の先生方との事前の打ち合わせがとても効果的です。このようなアイディアのgive and takeも、T1,T2授業の相乗効果だと感じています。

3.教材と子どもの反応
授業では、最初に歌やチャンツでウォーミングアップをします。「Song and Chants」から1曲選んでいます。練習しなくても歌える歌ばかりなのでとても使いやすく、授業の導入部としては最適です。絵本はとても効果のある教材だと痛感しています。特に低学年の場合、「Brown Bear Brown Bear what do you see?」は、この本1冊で、色・動物・動物の鳴き声などかなりのアクティビティができました。CDには効果音も入っているので、子どもたちも大好きで、授業も盛り上がります。
低学年だけでなく高学年にも人気のあるのが前述の「バナナじゃなくてbananaチャンツ」。廊下で子どもたちとすれちがう時、「バナナじゃなくて?」と言うと、ちゃんと「banana♪」と答えてくれるほど子供たちに浸透しています。
さらに、「英語ノート」と内容的に共通項の多い「英語で自己表現ワーク」が、発展アクティビティのアイディア探しに役立っています。スキット発表の時などは「英語で自己表現ワーク」の最後のページにある「話上手になるポイント」を参考にしています。

4.個人での取り組み状況
毎授業、単元ごとのゴールを決めて、授業が終わったら達成できたかどうかを記録しています。Classroom Englishについても、「子ども達に難しい表現がなかったか」「必要以上に英語を話しすぎなかったか」などを日誌につけ、以後の授業に生かすようにしています。

5.今後の目標
青森市には、まだまだ英語活動のノウハウが定着していない学校がたくさんあります。今後、英語指導に役に立つ情報を「英語レター(仮称)」などで随時、先生方に提供できるように努めます。
地域で勉強会を開いたり、教育委員会との連絡をこまめに取り、地域全体の「底上げ」に貢献できるように微力ながら力を尽くしたいと思っています。