2013年6月25日
小学校英語とフォニックス
東京都
mpiパートナー教室 ニコニコキッズ・イングリッシュ 主催
J-SHINE(小学校英語指導者認定協議会)トレーナー
東京都北区外国語教育アドバイザー
田村佳子
レポート:小学校英語の現場から

mpiでは長年、小学校での英語教育の低学年化、またフォニックス学習の重要性をうたってきましたが、今「フォニックス」が改めて世間で注目されていることを受けて、 今回は、公立小学校における「フォニックス指導」について、長年、東京都内公立小学校でJTE、教員研修などに携わり、 現在は北区の外国語教育アドバイザーをされている田村佳子先生にお話を伺いました。

レポート:小学校英語の現場から

―小学校外国語活動でフォニックス学習を導入するとしたら、
何年生からがよいでしょうか?

外国語活動の開始学年や年間の授業数によって違いがありますが、1年生から何らかの形で英語の活動を行っている小学校では、小学校3, 4年生から少しずつフォニックスアルファベットの歌を導入して、アルファベットには「音」があることを無意識のうちに気付かせていくと良いでしょう。 この段階を経ていれば、高学年になった時に、フォニックスアルファベット音を当てはめながら文字を読んでいく学習を少しずつ始められるでしょう。

―なぜ3, 4年生からなのでしょうか?

フォニックス学習を始めるには、音声を聞いて意味がわかる状態になっていることが大事です。
小学校低学年で外国語活動を経験している場合は、3,4年生位になると、簡単な言葉の音声を聞いて意味が分かるようになります。 例えば、catと言えば、それが猫と分かります。そうして言葉の意味を理解した上で、フォニックスアルファベット音を当てはめて文字を読むことができた時、 初めて「意味」と「音」と「文字」がつながります。これがフォニックス学習では重要なポイントです。
また子どもたちの発達段階を考えても、フォニックスアルファベットの歌を恥ずかしがらずに歌うことができる年齢ですので、 スムーズに学習を始めることができるでしょう。

―フォニックス学習を始める前に、体験しておくべきことはありますか?

通常、5年生で大文字、6年生で小文字を読む活動が取り入れられています。活動のウォームアップとして、フォニックスアルファベット音を歌やジングル(唱え歌)を通して導入してみましょう。 この時文字が表示されている絵カードを使い、文字に意識を向けさせることで、フォニックス学習につなげることができます。
例えば、フォニックス学習を年間計画に組み込む余裕がなくとも、普段の活動の中で使用する表現の、初頭音や末尾音だけを取り上げたり、3文字単語を、フォニックスアルファベット音を当てはめて読んでみたりといった活動を行うことも可能でしょう。
また、モジュールの時間や朝の会、給食、昼休みの時間などを使って、フォニックスアルファベットの歌やジングルを導入することもできます。

―外国語活動を5, 6年生のみ実施している学校では、どのようにフォニックス学習を
取り入れるとよいでしょうか?

フォニックスを導入するには、まず小学校外国語活動の目標を十分理解し、目の前の子ども達の実態に合わせて導入する必要があります。 英語の音を聞いて意味が分からないのに、文字を読ませたり書かせたりするような指導をしないように気をつけるべきでしょう。 グループやペアで楽しめる“フォニックスアクティビティー”を導入していくと良いでしょう。(フォニックスを楽しく教えるためのアクティビティー集) また、文字に関する学習は個人差が大きいため、子どもに苦手意識を持たせないようにする注意が必要です。

―小学校でフォニックス学習を取り入れるメリットはなんでしょうか?

発達段階的にみて小学校高学年は文字に興味が出てくるのが自然です。また、小学校低学年から外国語活動が行われている小学校では、高学年になっても歌やゲームだけの活動を行っているのでは物足りなくなってきます。 そこで、絵カードに補助的に表示されていた文字をフォニックスルールで読む活動を取り入れるなどして、高学年の子ども達の知的好奇心をくすぐる内容にすることで、彼らの英語学習に対する意欲を高めることができます。 また、「中学校に行ったら、もっと英語が読めるようになるよ!」という意欲や関心にもつなげることができます。

―担任が、フォニックスの指導法を学んでない場合、取り入れるのは難しいですか?

フォニックスの指導法を学んでいない場合でも、様々な形でフォニックス学習を小学校外国語活動に取り入れることが可能です。フォニックスは難しいものと構えてしまう方もいらっしゃいますが、 CDやDVDを使って、歌やジングルでフォニックスアルファベット音を子ども達と一緒にリズムよく練習することから始めてみてはどうでしょうか。 子ども達が楽しく学ぶ方法や、大人数の子ども達を動かす方法は他教科で既に実践していらっしゃる担任の先生方ですから、アルファベットの音の出し方さえ分かれば、きっとフォニックスを使って楽しく活動を進められると思います。 活動のアイデアが浮かばない時は、市販のフォニックス活動集 などからヒントを得ることもできます。

レポート:小学校英語の現場から

先日、政府の諮問機関である教育再生実行会議が、小学校の段階から、英語学習をさらに充実するよう求める提言をまとめました。
具体的には、現在小学校5,6年生で必修化されている外国語活動を小学校4年生以下でも行うことや、英語を小学校で正式な「教科」として位置づけることを検討するよう求めたものです。

また大阪市では、教育振興基本計画の改定案にグローバル化改革「英語イノベーション」を盛り込み、小学校1年生から独自の英語教育を行うことを決定しました。これを受けて、フォニックス学習用の英語教材を中心に、多数mpi教材の導入が決定されました。
大阪市 小・中学校英語教育重点校用の採用英語教材
改革案では、小学校ではフォニックス学習を導入し、また中学では「聞く・話す・読む・書く」の4技能をバランスよく伸ばすための英語教育を重視すること、また9年間(小学1年生~中学3年生まで)の小中一貫英語教育をめざすという方向性が示されています。

全国の公立小学校で5, 6年生を対象に、年間35回が必修となった「小学校外国語活動」ですが、2011年のスタートより2年を経て、ようやく活発に動き始めるのではないかと感じています。
mpiでは長年、「適期教育」を実践しています。子どもが言語を習得するのには、それぞれの年齢に応じた適切な学習方法があります。低学年の子どもは耳が非常によいので、英語耳を作り、英語らしい発音を身につけるのには絶好の時期です。 また、やる気に満ち溢れているので、大きな声で、みんなで楽しくたくさんのことを学ぼうとします。この時期に英語に触れさせてあげると、その後の英語学習にも大きく繋がります。またフォニックス学習は、先月の記事でも取り上げましたが、子どもの英語学習全体をボトムアップさせる効果的な学習法です。 全国の小学校で英語活動を低学年から行えるよう、mpiはこれからも支援を続けていきます。

☆mpi フォニックス教材一覧