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宮 清子
2010年11月2日
日本人のための
「フォネミック・アウェアネス」のススメ
宮 清子
レポート:小学校英語の現場から

4.歌とフォネミック・アウェアネス

 英語圏では就学前に、身の回りの言葉、絵本、チャンツなどで、子ども達がすでに親しんでいる単語を用いてフォネミック・アウェアネスの指導をしています。素材は何でも構いませんが、私が歌と結びつけたのは次のような理由からです。英語の語彙を持たない日本人の子どもに、突然フォネミック・アウェアネスの指導をすることは、いくら大切だとはいえ無理な相談です。しかし、文字指導、フォニックス指導の時期もすぐ後にひかえています。そんな無理な相談を、やんわりと受け止めてくれるのが歌です。

<意味的側面>
 歌って踊る活動を通して、英語の音声と意味を一致させる活動にしやすく、分かる言葉を増やすには最適。替え歌などで語彙を発展することも可能。ライミングの楽しさに触れることができる。

<音声的側面>
 日本人に必要な英語の強勢やイントネーションを身につけやすい。音符は音節ごとに振られるので、音声構造を自然に理解する活動につなげやすい等の利点があります。

 古い歌の中にこのような良さを持つ歌がたくさん見つかりました。

5.指導の実際

 英語学習が初めての日本人の子どもで、日本語の音韻認識ができる場合、英語のフォネミック・アウェアネスの難しさは英語圏の子どもの場合と同じかどうか、これからの研究が待たれるところです。

 そんなことも加味しながら、『Superstar Songs』は日本人に必要な語彙、指導のねらい、カリキュラム内での使用時期、次に来るフォニックス指導などを総合的に考えて、『Superstar Songs』1, 2, 3と、スパイラルにゆるくフォネミック・アウェアネスのステップを踏んで曲の配列をしたつもりです。教材に提示してあるものは、指導の一例・たたき台のつもりでつくりました。使用する先生たちの力で、目の前の子どもに対応するよう内容が充実されることを願っています。

 ここで、今までいただいた教室での反応などを含め5曲ご紹介しましょう。

◆Row, Row, Row Your Boat (Superstar Songs 1) 

 Row, row, row your boat
 Gently down the stream....

 この曲自体がフォネミック・アウェアネス指導にもってこいで、英語圏でもよく替え歌などにして利用されています。

 日本人としては/r/ や/l/の発音も押さえられます。また、早く歌ったり、スローモーションで単語を伸ばしたりして歌うと、row という単語の音が変化していくのを感じさせることができます。単語の構造を知る一歩にもなります。

 またMer-ri-ly, mer-ri-lyと歌うと3つの固まりに分かれていることが分かります。自然に単語の音節が分かる歌です。

 この曲は、さらにこんなふうに発展させてみました。
Fun-fun TimeのSilly Songsという最初の音を変えて遊ぶ活動です。 
ここではI’m a moo-moo cow.という替え歌ですが、ポイントは以下です。

 例えばイラストの羊さんは”baa-baa”と鳴いていますので、”merrily merrily”と歌う代わりに”berrily, berrily”と、あえて日本語で言えば、「たのしく!」を「バー、バー、バのしく!」と訛って歌います。ここは語彙を教えるものではありません。

 実際に教室からは、初めての子どもは何のことか分からず、きょとんとするという声が聞こえて来ました。シリーズの 1なので基本的にまねをするだけという軽い活動です。
中には、子どもに面白さが分からないと活動として失敗では?という声もあるようですが、Silly Songという活動は、音の組み合わせの変化を体験してくれたら良いという思いでつくったものです。

 動物の鳴き声の最初の音を強調しながら何度も大げさに繰り返して遊んでください。

     ウシさん moo-moo, merrily, merrily!
     ヒツジさんBaa-baa, berrily, berrily!
     ヒヨコさんCheep-cheep, cherrily, cherrily!
     ウマさんNeigh-neigh, nerrily, nerrily!

 英語圏では、このように最初の音を使って言葉を替えて、存在しない言葉で遊ぶ活動を盛んにやります。このような活動の目的は初めの音に注意を向けさせると同時に、将来自由に音を組み合わせて「音の操作」ができるようになるための準備でもあります。単にmという文字の音が/m/だと学ぶだけでは読み書きの役に立たず、様々な音の組み合わせで豊富な音声体験をすることで、フォニックスの力が読み書きに応用できると言われます。
この活動を覚えておくと、教室の中で使える典型的なお遊びの1つになります。

Superstar Songs