| つまずく新入社員たちを見て
――昨年の秋に教室を開くまでは、どんなお仕事をなさっていたんですか。
吉澤 IT系企業で社内研修の仕事をしていました。チームマネジメント、ファシリテーション、コーチングなどの研修を、企業の社員向けに立案、企画、実施する仕事です。3社ほど会社を変えて10年以上やってきました。
――英語教室とは少し毛色の違うお仕事ですね。英語教室を開こうと思った動機や経緯は、どのようなものだったのでしょうか。
吉澤 ここ数年、新入社員の研修をする中で思うことがあって。国内外の有名大学の出身者や、海外でMBAを取ってきた大学院卒の新入社員教育を担当する中で、「人としてのスキルが不足している」と切実に感じたのです。学生時代より長い社会人人生を生きる上でのスキルがほとんど身についていない、と。
一人ひとりはすごくいい子だし、頭もいいし、センスもある。でも何か足りない。本人達も、会社に入ってしばらくすると、仕事や人間関係で深刻に悩み始める。
特に不足していると感じるスキルは、自分の意見が言えない、人の話が聞けないこと。それから、どうしたら他人が喜ぶかを考える想像力がないこと。社会に出ると、一緒に働く人たちやお客さんを喜ばす力って大事ですよね。でも、サービス精神や想像力が足りないから、入社早々つまずく。それでうつ病になったり、第二新卒なんて言葉に踊らされたり、「この会社では評価してもらえないからよそへ行く」と会社を辞めていく子が少なくない。とりわけ偏差値の高い大学を出ている子にそういう子が多いんです。
社会で必要な人間としての基礎力を、大学を出るまでに学ぶ機会がなかったんでしょうね。ならば、私がそういう場をつくろうと、教室を開くことにしました。
英語によるコミュニケーション力と表現力を伸ばすだけでなく、人の話を聞く態度、自分の意見を伝える習慣、人を喜ばす力、後片付けなどを率先してやる気づかい、それから、勝ち負けを受け止めて努力していく素直さなど、社会に出て必要な人としての基礎力を育てたいと思っています。
もうひとつには、私は平塚生まれの平塚育ちなので、「いつか地元に密着した仕事がしたい」と以前から考えていました。地元で仕事ができれば、親の介護もしやすいですしね。
高校留学のきっかけはビリー・ジョエル
――英語はどうやって身につけたんですか。子どもの頃からお好きだったんですか。
吉澤 実は、中学、高校とも英語は嫌いでしたが、ビリー・ジョエルの大ファンで。高2の時にコンサートに行ったんですが、ビリーのMCでほかの人たちが笑っているのに、私には何を言っているのか分からず、すごく悔しい思いをしました。
ビリー・ジョエルの“JUST THE WAY YOU ARE”という歌が好きなのに、訳詞を読むとダサいんです。「ビリーがこんなダサイことを言うわけがない! 英語が分かるようになりたい!」と(笑)。
我ながら発想が飛躍しているんですが、「アメリカに行かせてくれ!」と親に頼み倒して。当然反対されましたが、親が根負けして、コロラド州の高校に留学させてくれることになりました。しかし、日本でさえ英語の成績が悪かったので、行ってからが大変でした。 |