愛知県春日井市立神屋小学校 教諭 加藤拓由
2009年2月2日
キレイごと抜きの現場報告
小学校だから!できること 第7回
マイナスから立ち上がる担任たちが
日本の子どもの未来をつくる 【前編】
愛知県春日井市立神屋小学校
教諭 加藤拓由
レポート:小学校英語の現場から
代表的なものに、「高学年になると歌を歌わない」という固定観念があります。確かに思春期の児童にとって、人前で歌うことに抵抗があることは否めません。しかし、私はあえて歌を歌います。子どもが誰一人歌わなくても、自分一人だけでも歌って踊ります。
子どもは、面白いことが大好きです。彼らは毎日のようにお笑い番組を見ては、芸人のまねをしています。面白いことは「やめなさい」と言ってもやってくれるのです。

私が担任しているクラスでは、Coconut Song(『Songs and Chants』〈松香フォニックス研究所〉所収)が大人気です。特に、最後にcoconuts、coconutsと4回繰り返しながら、手を糸巻きのようにクルクル回転させて踊る動きが面白いようです。私がおしりをミツバチのように振りながら大げさにやると、子どもも恥ずかしそうにまねしてやってくれます。

冷めた目で見ている女子もいますが、そんな時は男子のお調子者を仲間に引き入れて、彼らの行動を大げさにほめたたえて礼賛するのです。そうすると、その他大勢の子どもは、お調子者の方に引きずられていっしょにやります。クラスの3分の2がそれとなく歌って踊ってくれたら、まずは大成功!と思うことにしています。

小学生は本当に担任の先生のことをよく見ています。担任の先生が「恥ずかしいなぁ」と思っていると、子どももそう感じるようになります。逆に、担任の先生が楽しそうにやっていると、子どもたちも楽しい気分になります。
特に、高学年の児童は、半分大人の要素を持っています。担任の教師が恥も外聞も捨て去って、捨て身で取り組むあられもない姿を見れば、きっと「かわいそうに」と思って、そこそこつきあってくれるはずです。

編 クラスマネジメントで気をつけていらっしゃることはありますか。

加藤 これも、誰もが知っているような基本的なことしかありませんが、1つめは、英語活動で使う国際理解教室に入る前に、廊下で整列して “English Switch On!” と全員で唱えることにしています。幼稚だと思われるかもしれませんが、私の知る限り、6年生まで有効です。

2つめは、その日の授業の流れを黒板の隅に書いておくことです。MPIの講座ではおなじみのやり方ですね。これは特に英語活動に不安を感じている児童にとって有効なようです。子どもは次に何をするかわかっていると安心します。この手法は、特別支援が必要な多動やADHDの児童などにも有効であるといわれています。

3つめは、授業の流れを定石化することです。自分がT1でやるときだけですが、[あいさつ→歌→復習→活動1→活動2→まとめ→振り返り→歌→あいさつ]という流れをパターン化しています。いつも同じようなことをするので、2つめの「授業の流れを黒板の隅に書いておく」のと同じで、英語の苦手な児童の不安を取り除くことができます。

そして4つめは、できる限り叱らないことです。他の授業でも心がけていますが、なかなかできませんね。私が最も苦手としているところです(笑)。特に英語活動の授業で強く叱ってしまうと、児童のテンションも、こちらのテンションも下がってしまいます。児童の発話のハードルを下げるためには、できるだけ叱らないように自分の意識をコントロールしています。