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  英語活動で、自分を好きになるきっかけを。連載第5回(最終回)

香川県綾歌郡綾川町立羽床小学校
教諭 横田由香

※連載第1回〜第4回はこちらよりご覧いただけます

聞き手・編集部

香川県綾歌郡綾川町立羽床小学校 教諭 横田由香

●英語活動と国語科との相乗効果で「話す・聞く」力が高まる
横田
さらに、英語活動には、他教科にいい影響を及ぼすとも感じています。特に国語科への影響は非常に大きいと思います。国語科における観点別評価のポイントは、「話すこと・聞くこと」「読むこと」「書くこと」「言語事項」です。特に「話すこと・聞くこと」については、ねらいとする内容はまったく異なるにしても、その態度は英語活動で十分身につけることができますので、相乗効果があることは容易に予想できます。実際、 5年生の国語の単元で「会話をはずませよう」という学習をした時に、相乗効果を感じた経験があります。

 「会話をはずませよう」の大まかなねらいは、お互いに相手の言っていることを正しく理解し、会話がはずむように受け答えをする、といったことです。また授業としては、隣どうしで機械的に男女のペアをつくり、ねらいにそった会話を考えさせて、それを発表するという流れです。もしこのクラスが英語活動をまったく経験していなければ、思春期の入口にいる 5年生の子ども達相手に発表者を募っても、手は挙がらないでしょう。ですから、グループでお互いに発表しあって終わり、という味気ない活動でお茶を濁してしまいがちです。

 でも、この子ども達は 2年生から週1時間、英語活動を経験してきました。ダンスリーダーで前に出るのは慣れっこです。ペアで『Hi-Bye English』のフレーズを発表することも当たり前のようにしてきています。そこで、私は、「じゃあ、前に来て発表できる人!?」ではなく、英語活動のノリでいこうと考え、 “ A ny volunteers? ” と言いました。すると予想通り、 “ Let me try! ” とほとんど全員が手を挙げました。「堂々とみんなの前で自分の考えを発表できる子を育てる」ということにおいて、英語活動と国語科との相乗効果を感じた瞬間でした。加えて、こちらから一言も指示をしていないのに、子ども達は、発表が終われば拍手をしてコメントを言うことまでできたのです。しかもその内容が、「きちんとお互いに目を見て話せていました」「ジェスチャーを入れて言えていたので分かりやすかったです」というものでした。

  今回の指導要領改訂のポイントの中にも、コミュニケーション力を重視する旨の文言が入っています。ここでご紹介したことは、英語活動と国語の授業で相乗効果を生みだせることを示した好例ではないか、と自負しています。

●女の子の見事な機転、男の子のおとぼけインタビュー
横田
 昨年度担任したクラスの 5年生が見せてくれたほほえましいエピソードを2つ紹介します。

 今年度から新しく来られる JTEの先生に、show & tell形式で自己紹介をすることにしました。食べ物でもキャラクターでも自分の好きなものを、画用紙の裏と表にひとつずつ書いて、5センテンスで、 “ Hi! My name is … I like … I like … , too. Thank you. ” と紹介することにしました。いつもなら手を挙げた子から指名して前に出てきてやってもらうのですが、この時は能率よく全員に発表をさせたかったので、列の順で自己紹介をしていきました。どんどん進んで最後の1列になったとき、私はあることに気付きました。なんと一人だけ画用紙に何も書いていない子がいたのです。実はこの子は、ざっと絵をかくことが苦手で、非常に緻密な絵しか描けない子だったのです。ひょっとしたらすねて前に出ていかないかも……と思っていたのですが、自分の番が来たら前に立って話し始めました。 “ Hi! My name is …” ここまでは言えることは分かっていたのですが、その次です。私は適当に画用紙を見せないで口頭だけで言うのかと思っていたのですが、その子は堂々と何も描かれていない真っ白い画用紙を見せながら、 “ I like white. ” と言ったのです。当然裏も真っ白ですから、5センテンスにはなりませんでしたが、この機転にはみんなが驚きました。

 また、これは春の遠足で電車に乗った時のことです。途中の駅で、見るからに外人さんという風貌の方が同じ車両に乗ってきました。「ほら、昨日英語で勉強したん、何やったかなあ? そうそう、 What ' s your favorite … ? っていうやつ、聞いてみる?」と私が言うと、男子数名が “ Hi! ” と自分達から紳士に声をかけ、そこから質問攻めが始まりました。私は少し離れたところにいたので詳しくはどんなことを聞いたのか、後になって知ったのですが、とにかく好きな食べ物に好きな動物、好きな色、好きなスポーツ……と矢継ぎ早に質問をしていました。相手の方は大変やさしい紳士で、笑顔で丁寧に答えて下さっていて、感謝の気持ちでいっぱいになりました。

 そうこうしているうちに目的地に到着。紳士とお別れをして、質問攻めにした子達に何が分かったかを聞いてみると、

男子「先生、あの人な青色が好きでな。サッカーも好きでな。ピザが好きでな。動物は犬が好きなんやって」

私「ねえ、それであの人はどこの国の人で、なんていう名前なの?」

男子「あ! 聞くの忘れた!」

最後にはこんなおちまでついていたのですが、『Hi-Bye English(英会話たいそう)』のフレーズが生きて働いたのを目の当たりにできました。子ども達は「使える」ことと「伝わる」ことがこれでよく理解できたと思います。この子達は今でも英語で表現することを楽しんでいます。

次は生徒ではなく私の話ですが、英語活動を始めるようになって、自分も外国に行ってみたい!という気持ちが一段と強くなり、昨年の夏、カナダに行ってきました。見るもの、聞くものすべてが刺激的で、 10 日間があっという間でした。最初の 2 , 3 日はお店で注文するのも冷や冷やどきどきで、まともに相手の顔を見て話ができず、笑ってごまかすこともありました。しかし、そのうち英語だらけの環境に慣れてきて、知らず知らずのうちに、『Hi-Bye English(英会話たいそう)』 の96センテンスの中から、その場の状況に合うフレーズを歌いながら思い出し、“What do you call this?” “Can I have…?” など一度使いだすと通じることが嬉しくて、最後にはタクシーを自分で呼べるまでになりました。この時の珍道中は、よくクラスの子ども達にも話をして盛り上がっています。

●子どもにも自分自身を好きになってほしい。
編集部(以下、編)
小学校英語でいちばん大事なことは、何だとお考えでしょうか?

編  教師が「どんな子どもを育てたいのか」という目標を、はっきりと持っておくことだと思います。私の場合は「自分自身を好きになってほしい」という願いが根底にあります。自分を好きな子は、友達にも自分の優しさを配ることができます。自分ができることで協力することができます。これからの時代、グローバルな視野で物事を考えることができる人になるには、自分が役立つ人間であるという自信が必要であると私は考えています。友達と一緒にちょっとがんばったらできたという達成感や一体感、分からなかったことがわかるようになった充実感、失敗してもチャレンジできた勇気など、英語活動の中には新しい自分に気づくことができるチャンスがたくさんあります。できないことを指摘するのではなく、少しでも伸びようとしたところを見つけて価値づけてあげることが、英語活動で子ども達を成長させるための最も大事なポイントではないでしょうか。子ども達は私たち大人が思っている以上に成長をしています。

 最後に、全国の先生方へメッセージをお願いします。

横田  小学校の先生方には、英語活動の力を知っていただけたらと思います。「英語は苦手だから」といって ALTやJTE任せにしてしまっている先生もいますが、考えてみれば、小学校の教師は体育が苦手でも音楽が苦手でも指導をしなければいけません。私達は教育のプロです。また、担任であれば一人ひとりの子どものことを一番よく知っているはずです。子ども達を指導する立場にあるのですから、なんとか自分で授業をしていこうという気持ちを持って、英語活動がもたらす大きな影響力を感じてほしいと思っています。

 今の私は、 1学年1クラスなので学級間の足並みを考えることもなく、自分が思ったように自由に実践ができ、教材も充実しています。ALTやJTEの先生方も非常に協力的で、柔軟に対応して下さっています。今後、英語活動の進んでいない学校に赴任したら、自分一人でどれだけ進めていくことができるのか、と不安になります。一人でも多くの先生方に小学校英語活動の意義を知っていただき、お互いに高めあえる場ができればと考えています。

  しかし、現実的にはこれから、今まで以上に担任が JTE の先生に頼るところが大きくなると思います。現場では難しい問題を抱えた子ども達が増えてきています。担任の先生方も、日々、多忙な中で精神的にも肉体的にも追い詰められた状態でがんばっています。 JTE の先生方には、目の前の子ども達をよりよくしていきたいという熱い思いをもって、担任と一緒にがんばっていこうという姿勢で臨んでいただければありがたいです。

※連載第1回〜第4回はこちらよりご覧いただけます。